将棋上達日記(雁木・相振)

将棋24で三段の筆者の対局日誌です。雁木・相振飛車で戦っています。

A級順位戦3回戦の感想

毎日新聞でA級順位戦3回戦の掲載が終わりました。振り返ります。

A級順位戦二回戦の結果
カード 戦型
×行方ー羽生○ 矢倉
○渡辺ー佐藤× 向飛車
○稲葉ー三浦× 横歩
○広瀬ー森内× 角換
×屋敷ー深浦○ 横歩
3勝 広瀬7 稲葉9
2勝 羽生1 渡辺3 深浦8
1勝 行方2 佐藤4 屋敷5
0勝 森内6 三浦10

3回戦は行方ー羽生戦以外は割とあっさり勝負が決まった印象でした。
行方ー羽生戦は中終盤のねじりあいが非常に見応えがありました。行方さん応援していましたが一歩及びませんでした。

挑戦・降級予想

3回戦までの対局を見て予想してみます
挑戦 ◎広瀬 ○羽生 △深浦
期待を込めて広瀬さん推しにします。1回戦の渡辺戦で終盤競り合い勝ちしたのが大きいと思っています。現時点で1勝のアドバンテージと、6回戦の羽生戦で先手番を活かせるか。
羽生さんは棋聖戦王位戦で差し込まれた時は王朝交代かと思いましたが、3つのタイトル戦を防衛しました。ただ戦い振りを見ると余裕はないのかなという印象もあります。深浦さんは羽生さんを倒しているのと、なんと行っても脅威の粘りがあるので要注目です。
稲葉さんは3勝していますが、いずれも中盤でリードしてそのまま押し切った勝ち方でした。挑戦者になるには昨期の天彦さんのように終盤戦の競り合いを勝ち切っていかないと難しいかなと思い候補外としました。

降級 三浦 屋敷
三浦さんは大変な状況になってしまい降級どころか棋士生命も危ういです。少なくとも年内の屋敷・森内戦不戦敗ということでほぼ確定でしょう。三浦さんはA級順位戦では毎局定跡から少し外れた局面を研究しまくってぶつけてくる将棋で好きだったのですがこのようなことになってしまいとても残念です。復帰できることを祈ってます。

残るは佐藤、森内、屋敷さんあたりですが、森内さんは3連敗で全くいいとこなしですが、負けた相手が渡辺羽生広瀬と強いひとが多いのでここから巻き返すのではないかなと。
屋敷さんは昨期の原動力になった屋敷棒銀がまだ先手番で使えていません(2手目84歩とされる)。持ち味の積極性が出ていない気がするのでピンチだとおもっています。

作戦勝ちから勝ちに持っていく

作戦勝ちから優勢・勝勢に持っていくのは将棋の難しいところのひとつです。本局ではそれがうまくいきました。

本譜の進行

図1は相振飛車の中盤戦です。(後手が私です。)
一手損高美濃戦法で相手の歩交換を避け駒組をした結果、図では作戦勝ちを意識しました。
・先手の飛車と歩が逆型
・後手は歩交換できていてさらに5筋で1歩得できそう
・後手は端攻めが狙いとしてある。
というのが理由です

<図1からの指し手>
      △55同銀
▲同歩 △同角
▲7七角 △同角成
▲同桂 △4四角
▲6六角 △同角
▲同歩 △4四角


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角銀がお互い手持ちになったので、私は角のラインの先着が大切と考え△44角と打ちました。逆に▲44角とされると銀の持ち駒があるので受けが難しいです。

<図2からの指し手>
▲4三角 △2四飛
▲7六角成 △5四歩


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図3でじっと△54歩が本局の勝因になった一手です。この一手で先手は馬が敵陣に侵入することができず攻めがなくなりました。あとは後手はゆっくり端攻めをすればいいという状況になりました。

<図3からの指し手>
▲6七馬 △1五歩
▲同歩 △1六歩
▲5七馬 △2二飛
▲1六香 △2五銀
後手は急いで攻める必要はないので△25銀と打ちゆっくり駒得を狙いながら攻めました。



<図4からの指し手>
▲1七銀打 △1六銀
▲同銀 △1二香打
▲2六銀 △2五歩
▲1七銀引 △3五歩
▲9六飛 △3六歩
▲同歩 △1五香


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図5以降50手以上かかりましたが、後手がひたすら攻めて快勝することができました。
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反省

良かった点
・作戦勝ちから局面を支配する△44角、馬を封じ込める△54歩がさせた事。相手からの攻めがないことを見越してゆっくり着実に攻めることができた。自分側の良さを理解して指し手を進めたことでリードを確実に拡げることができた。
・序盤相手の棒銀の攻めを△84歩から銀冠に組んで受け止めることができた。

9月の成績

2016年度の成績
勝敗 レート推移
1月 5勝3敗 R1710→1746
2月 5勝3敗 R1746→1789
3月 5勝3敗 R1789→1822
4月 2勝4敗 R1822→1793
5月 5勝3敗 R1793→1825
6月 4勝3敗 R1825→1844
7月 3勝6敗 R1844→1804
8月 5勝3敗 R1804→1852
9月 2勝2敗 R1852→1852

36勝 30敗
2016年最高R 1888 2016/6/18

8月の内訳

○●○●
矢倉37銀 1-0  
矢倉その他 0-1 
相振三間  0-1
相振その他 1-0 
対抗型   0-0 
右玉    1-0 
時間切れ  0-0
9月は指分でした。レートが上がってきて対局にビビってしまいあまり指せませんでした。。。

■原因分析
・矢倉序盤で大失敗が1局(5筋から急戦されて潰された)
・相振三間飛車でいつもの形を採用せず惨敗した。
 →嫌な手順があっても自分の形を貫かないといけない。そのための準備をする

■8月の勉強
詰将棋 700問達成(5手詰ハンドブック2を4周)
詰将棋Tryeveryday 5問達成
将棋世界詰将棋3手5手 10問達成
日曜日の新聞詰将棋(11手) 4問達成
対局結果をノートにメモ 4局達成
NHK杯観戦 4局達成
ブログ記事アップ 4記事達成

9月も詰将棋をがんばって解きました。

最近根を詰めて将棋の勉強を一生懸命していたのですが、どうもやりすぎたようで疲れが溜まってしまいました。
詰将棋とかないと、棋譜並べしないと、勝たないとといつの間にか自分を追い込んでしまっていたようです。

強くなりたいという目標はありますが、所詮は趣味なので焦らず自分のペースで続けていきたいと思います。

同じ手を食って負け

24は多くのユーザーがいるので、特定の相手に対して対策を練るのではなく、不特定多数の人と戦える自分の戦法を磨くのが大切だと思っていました。
この考えは今でも大事だと思っているのですが、レートが上がってくるにつれてユーザー数が減ってきて同じ相手と繰り返し戦うことが増えてきそうです。
本局は矢倉になったのですが、以前やられた指し方と全く同じ負け方をしてしまいました。

本譜の進行

図は矢倉の序盤戦です。先手が私です。最近私は先手番の矢倉で相手の居角左美濃急戦を警戒して▲25歩を早く決めています。
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<図1からの指し手>
▲78金 △64銀 ▲58金 △52飛
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図2となって5筋の勢力で負けていて早くも苦戦になってしまいました。△53銀でてっきり△75歩からの棒銀の攻めを狙っていると思い▲78金と受けたのですが、相手の狙いは5筋だったのです。
実は図2の局面は8月11日に全く同じ局面に遭遇していました。相手も同じ方でその時は完敗を喫していました。
<8/11の敗戦譜>

<図からの指し手>
▲6七金右 △5五歩
▲5七銀 △5六歩
▲4六銀 △3二金
▲5八飛 △5五銀
▲同銀 △同飛
▲3六銀 △5七銀
▲2八飛 △5二飛
▲4五銀 △4六銀成
▲同歩 △5七歩成


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この時はあまりにひどい負け方で反省をブログにしていなかったのが祟りました。

<本譜の進行>

<図からの指し手>
▲67金 △55歩
▲同歩  △同銀
▲26飛 △66銀
▲68玉 △67銀成
▲同玉  △44銀
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前回あまり変わらないひどい形にはなってしまいました。
この後中央に厚みを築いて持ち直したものの、自玉の薄さがたたり最後は食い破られて負けてしまいました。

反省

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図1では▲57銀と上がるべきでした。これなら△52飛にも▲58飛と回って受けることができます。
今後は同じ相手と戦うことを想定していっそう負けた対局の振り返りをしっかりしないといけないと思いました。
高段の方のブログを拝見していると、過去の対局をしっかり整理されているのがよくわかります。
神五郎さん
53銀型三間飛車オンリーで戦っています
zingoroh.blog.fc2.com
masarusumeragiさん
右玉を得意とされています
masarusumeragi.hatenablog.com

万全の体勢から攻めて快勝

将棋は攻めることだけ考えていると、自玉がおろそかになっていつの間にかカウンターを食って失敗ということがよくあります。自分の調子がいい時は攻守両面を考え、相手との間合いをはかって一番いいタイミングで攻めている時です。

本譜は相振飛車で互いに向飛車で矢倉になった将棋です。(先手が私です)

本譜の進行


<図1からの指し手>
▲46歩 △35歩
▲同歩  △同銀
▲46歩 △44銀
▲56歩


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先手の狙いは一旦86飛と浮いて▲75歩からの棒銀攻めです。ここですぐに攻める手も考えたのですが、58金が浮いたままで、銀交換後△49銀の反撃があるので、▲46歩から自陣を整えることにしました。

<図2からの指し手>
     △82玉
▲47金 △72金
▲96歩 △94歩


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すぐに攻めることを諦め自陣を盤石にしましたが、相手も82玉、72金と寄ったので、棒銀の攻めはなくなってしまいました。
(▲75歩△同歩▲同銀△74歩▲84歩に△75歩で銀取られてしまう)
しかし、△94歩と突いてくれたので別の攻め筋が生じました。

<図3からの指し手>
▲75歩 △同歩
▲同銀  △74歩
▲86銀 △62金左


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▲75歩からの銀を繰り替えるのが手筋で、図4になって端攻めが確約されました。
ここからは脇システム、加藤流後手棒銀で散々使っている端攻めの手筋を炸裂させることができ一気に優勢になりました。

<図4からの指し手>
▲95歩 △同歩
▲同銀  △同香
▲同香  △93歩
▲99香 △76銀
▲66角 △67銀成
▲93香成


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図5で端を破る事に成功し、以下勝つことができました。

反省

良かった点
図1の局面で焦って攻めを急がずじっと▲46歩から矢倉を完成させたこと。
△94歩の緩手に乗じて一気に端攻めを決めたこと。
本局は矢倉と相振飛車を指している事が活かせた一局になりました。
以前はR1800代の人との対局は苦戦続きでしたが、最近は本局のような快勝もできるようになってきました。
これで三段まであと2勝。気合を入れて勉強したいとおもいます。

詰ますか詰めろか受けるか

終盤の鉄則は①相手玉が詰むか?→②自玉詰まないか?→③相手玉に詰めろがかかるか?→④自玉に詰めろがかかるか?の順に考えると本に書いてありますが、これがなかなかできません。

図は矢倉の終盤戦です。(後手が私です。)

本譜の進行

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自玉は金二枚で守っていて固く、攻め駒も4枚あり勝ちがありそうな局面だと思っていました。
が、どのように詰めろをかけたらよいかわからず、攻め駒を補充してから攻めようと思い、△46銀 ▲同歩 △39角と指しました。
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この時点では先手玉に詰めろをかけようかけようとばかり読んでいて、△86飛成とか△89飛成とか△93角とか考えていましたがうまい手が浮かばず。そして相手は▲33歩。
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これは取る一手だ、精算したあと金二枚縦に並ぶ形がゼットだと思って△33同桂 ▲同桂成 △同金右と指しましたが、ここでいきなり▲31銀と詰ましに来られました。
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相手の持ち駒を見ると金銀銀銀桂香と盛りだくさん・・・・
ああ、やばい詰まされるかもと思い始めた途端に、今頃になって相手玉を詰ます筋を考えはじめます。
「△57角成 ▲同玉 △39角 ▲48合 △同角成で詰むんじゃない・・・?」
しかしとにかく自玉が王手の状態なので
△31同玉 ▲42銀 △同金 ▲22金 △41玉 ▲53桂 △61玉 ▲62銀 と進みました。
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あれ?意外と後手玉詰まない?これは先手玉詰めば勝ち?
と思って、△57角成 ▲同玉 △39角だと合駒してくれず▲47玉でダメと気付き△57角成 ▲同玉 △48角 ▲同玉 △67と を読み始めます。
でも玉上に逃げられてだめかな・・・
と思ったところで、△52玉と逃げたのですが、そこでなんと相手の方が時間切れして私の勝ちになりました。
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投了図の図6では実は▲61銀不成 △53玉 ▲42龍 以下の詰みがありました。

局後の検討1 即詰みがあった

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図3で自玉が危なくなってから慌てて読みだした△57角成からの詰みがありました
図3からの詰み手順 △57角成 ▲同玉 △48角 ▲同玉 △67と ▲37玉 △36金 ▲同玉 △38龍 ▲37歩 △24桂まで詰み
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図3で私は全く相手玉を詰ますことを考えていなかった。△57角成▲同玉でダメと判断してしまいました。この手順で勝っていたら気持ちよかったですね。

局後の検討2 桂の犠打で時間を稼ぐ

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図2で△39角に変えて、対局中に考えた△89飛成も有力そうだったので検討しました。
図2からの変化 △89飛成 ▲33歩 △84角 ▲75香 △74桂
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△74桂を取らないと先手玉は詰んでしまうので先手は▲74同龍と取るしかありません。
そこで△33桂 ▲同桂成 △同金右と手を戻すと、龍がそれて後手玉の詰めろが消えます。
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ここで 先手が再び龍を入ると
▲72龍 △74桂 ▲同龍 △95角
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で桂の犠打を連発して△95角が詰めろになり後手が勝ちそうでした。

今日の反省

・自玉の安全度にかかわらず相手玉が詰むかをまず考える
・33歩は取る一手ではない。一手の余裕を活かして△74桂の犠打や即詰みを狙う
・金2枚(32金33金)並んだ形はゼットではない
・△74桂の犠打で手を稼ぐ

詰み、詰めろ、受けを使い分ける勉強になった一局になりました。

A級順位戦2回戦の感想

毎日新聞でA級順位戦2回戦の掲載が終わりました。振り返ります。

A級順位戦二回戦の結果
カード 戦型
×渡辺ー広瀬○ 横歩
○羽生ー森内× 矢倉
○稲葉ー深浦× 角換
×三浦ー佐藤○ 向飛車
×行方ー屋敷○ 矢倉
2勝 広瀬7 稲葉9
1勝 羽生1 行方2 渡辺3 佐藤4 屋敷5 深浦8
0勝 森内6 三浦10

若手の広瀬さん、稲葉さんが連勝スタートとなりました。渡辺さんは先手番で広瀬さんに負けたのは痛いですね。終盤力で負けてしまった印象で、後をひきそうです。あと佐藤さんのチョンマゲ向飛車が炸裂して快勝した将棋も面白かったです。連敗の森内さん、三浦さんは元気ないですね。

2回戦の気になった将棋レビュー

羽生ー森内戦が矢倉になり、久しぶりの46銀37桂型戦法になりました。

<図からの指し手>
▲7四銀 △6二角
▲8五銀 △4五歩
▲3三桂成 △同銀上
▲4五銀 △2六角
▲7六銀



▲74銀△62角▲85銀が初めて見た手筋でした。銀を取ると▲74桂で飛車角の両取りがかかってしまうんですね。結局取られそうな先手の銀が生還してしまいたちまち先手有利になりました。



<図からの指し手>
▲7四歩 △7二飛
▲8四角 △7七歩
▲同金寄 △7五歩
▲同角 △1四銀
▲4六桂



図3は桂得で先手優勢の局面ですが、どうやって後手玉を攻めるのかなと思っていたら羽生さんの手はなんと▲74歩!後手は攻め駒が全く働いてなく超ゆっくり攻めてOKという大局観がとても勉強になりました。この後も先手が一方的に攻めて快勝しました。