昨日は王位リーグ最終戦がありました。私は挑戦の目がお互いにある木村-澤田戦に注目していたのですが、澤田さんの穴熊攻略が素晴らしかったので紹介します。
73手目の局面で先手は鉄壁の穴熊。後手は薄い右玉なのに先手の駒はさばけそうで後手苦しそうです。
<図から>△86歩 ▲同銀 △54銀
まずはここで一本8筋を突き捨てます。自分は▲35歩の応対ばかり考えてましたが右辺だけ見てはいけないんですね。
しばらく進んで103手目で先手は角切りの猛攻をかけ、銀を取ったところです。当然△34同歩と思いきや・・・
<図から>△8六歩▲同歩△8七歩▲6六歩△3四歩
ここも手抜いて8筋攻めです。今なら馬が55にいるので▲86同銀ととれないんですね。▲66歩まで指させて△34歩と戻しました。
ここから先手は龍を作るも後手は銀を投入して受け、127手目で▲87金と歩を払いました。ここでてっきり△37角成として駒得を主張するのかと思ったのですが・・・
<図から>△8五歩▲同歩△5六歩
角2枚が並んでいるタイミングで△85歩を入れます。手抜くと△86歩▲同銀なら△68角成があるので▲85歩ととるしかないということでしょうか。
そして△56歩と垂らして先手陣にプレッシャーをかけつつ手番を渡してしまいます。
ここから進んで133手目で先手は▲45金と角馬のどちらかを取りにきたところ。ここで決め手がでます。
<図から>△8六歩▲4六金△8七歩成▲3五金△8六歩▲8八銀△同と▲同玉△8七金▲7九玉△5七銀
馬角取りを放置してまたも8筋攻め。そして攻めをつなげる再度の86歩。先手は角2枚を取るも玉を下段に落とされ一気に寄り形に追い込まれました。
私は穴熊相手だと駒を渡してカウンターを食らうのを怖がり一方的に受ける展開になって負けてしまうことが多いのですが、本局の澤田さんのタイミングを見計らった8筋の歩の攻め、そして56歩の垂らしは非常に勉強になりました。
最後に角2枚を渡すまで、自分の持ち駒を相手に渡さず歩だけで攻めたのがとても印象的でした。
穴熊って歩だけで攻略できるんですね。