将棋上達日記(雁木・相振)

将棋24で三段の筆者の対局日誌です。雁木・相振飛車で戦っています。

将棋倶楽部24で三段に到達しました(昇段体験記第三回 技術面の進歩)

昇段体験記の予定テーマを変更して先に技術面の進歩について書きたいと思います

■寄せの足場を作る
これは今年3月のA級順位戦最終局をニコニコ生放送で見ていた際に教わった言葉です。
広瀬-豊島戦で図の局面で広瀬さんが▲64桂と打ちました。
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ここから△19桂成 ▲84歩 △62香 ▲33飛成 △同銀 ▲82角 で先手勝ち
確か解説が郷田さんだったと思うのですが、この64桂を「寄せの足場」という言葉と使っていました。この将棋では▲54銀、▲64桂、▲84歩の3枚が寄せの足場になり、ここから▲33飛成と切って勝ちを決めました(即詰み)

 

これまで私の寄せは相手の駒を剥がしていくことだけの寄せだったのですが、寄せの足場の駒を何枚かセットして一気に寄せる(ボンバーマンのリモコン爆弾をいくつか設置して一気に爆発させるイメージ)ことが、ひとつの進歩になりました。

このあと24の高段者の対局を観戦することをしていたのですが、高段者の終盤戦でも寄せの足場がよく出てきました。45桂とはねた桂馬がなかなか33の銀を取らないんですね。

王手は詰ます時までかけない - 将棋24雁木・相振上達日記

自分の対局で印象的な局面を1つ紹介します(18/09/07対局)
図は私が後手です。まず、△65桂、次に△56桂、最後に△69銀と3つの寄せの足場をセットしまくってこのあと△99角から一気に寄せに出て勝つことができました。
プロはもっと少ない足場で寄せられるのですが、力をためて爆発させるという意識は出せました。

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■王を万全の状態にしてから寄せに出る

これはNHKの郷田-増田戦の解説で丸山さんが言っていた言葉です。

図の局面で郷田さんは△22王と指しました。寄せに出る前に王様を安全にして、飛車の王手をされないようにしてから寄せに出ました。 将棋はこうやって勝つのだなあと感心したのを覚えています。

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私の将棋で真似をした例を紹介します(18/2/24対局)。
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図の局面で私は△22玉と上がりました。既に勝勢ですが王の安全を意識した一着です。ここから以下の手順で進めて勝つことができました。

▲7九歩 △8八歩 ▲7七桂 △8九歩成 ▲4七歩 △7九と
▲5三桂成 △同金 ▲同銀成 △3九馬 ▲4八金打 △4五桂
▲5六金 △7八桂成

あとは大駒を捌く、遊び駒を使う、全軍躍動を心がける、といったところが(全部同じことのような気もしますが)二段から三段になる間に身についたことかなと思います。

 



 

将棋倶楽部24で三段に到達しました(昇段体験記第二回 雁木)

皆さんやっている24ログイン画面の画像貼るの忘れてました。
単なる数字ですが、これを見るために頑張ってきたとおもうと嬉しいです。

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さて、昇段体験記第二回は雁木について書きたいと思います。
2017/7より雁木を居飛車の主戦法として採用することを決めました。


<テキスト>
テキストは雁木伝説を購入して雁木の部分を何度も読み返しました。
この本では▲57銀型の雁木をメインに扱っていますが私はツノ銀雁木で戦いました。
また将棋世界の2017年11月号に増田さんの講座がとても参考になり、この講座で
棒銀型と75歩交換型に対応することができました。

<使った戦型と対応策>
(0)序盤の指し方
・3手目もしくは4手目に角道を止める
・まずは▲67銀型(△43銀型)に組み、振り飛車も見せておく
・その後▲78金 ▲48銀 ▲58金 で雁木を完成させてから他の手を指す
・王様の移動もできるだけ保留して右玉も見せておく
いろいろ試した結果上記の指し方で戦い方を固定することができました。

(1)棒銀型 2-1
棒銀に対応できないと雁木を指すことはできません。
ポイントは△74歩に▲56歩、△73銀に▲68角とすることだけです。
銀が攻めて来たら▲46角で応戦する。これで戦うことができました。

(2)角交換型 6-3
最も出現しやすい戦型です。▲45歩から仕掛けられるかがポイントになります。
参考になったのはいしばしさんの動画です。
▲45歩と仕掛けたあとどうやって攻めをつなげるか詳しく解説してくれています

いしばしシステム解説動画3 - ニコニコ動画
あとは最近出た西尾さんのコンピュータ将棋の本が参考になりました。
△22銀と引かれて桂損しても戦える手順です。

(3)75歩交換型 2-2
これは増田さんの講座そのままに指しました。
ポイントは△74銀と相手が攻めてきてから▲45歩と仕掛けるということです。

(4)居角左美濃型 4-2
これは私オリジナルで対策を考えました。
(0)で述べた序盤の指し方を活用して袖飛車で対応しました。
飛車先を伸ばしていない、美濃囲いは3筋が弱いので袖飛車から35歩の交換を目指します
相手の応対によって△35歩を飛車で取るか、銀を46に進出して銀で取るかを決めます。
その後は右桂を活用して33の地点を攻めることで相手が攻めてくる前にこちらから仕掛けて戦うことができました。
対策は主に将棋ソフトの評価値を参考にしならが考えました

(5)その他 11-15
攻める雁木は最初の頃狙って採用しましたが、玉が薄いのと仕掛けが難しいのでやめました。

<雁木のコツ>
(1)玉を移動させて戦う
ツノ銀囲いは王様を囲いが崩れても王様を中央に逃がせるのが大きな特徴です
例えば9筋を端攻めで破られたとしても、王を79〜68〜57と逃がすことで、
二枚腰で戦うことができます。
最初は▲56歩と突くと玉が薄く感じられて(57の地点攻められるのが嫌)良さがわかっていなかったのですが、57に王様が逃げられるとかなり寄せられづらいことがわかってからは積極的に突くようになりました。

(2)相手が攻めてきたら自分も攻める
これはNHKの解説で丸山さんが言っていました。
銀が4段目に出てきたら仕掛ける、それまではじっとしているのがポイントです。

 

<雁木に転向した感想>

矢倉では序盤で急戦で潰されて負けることが多かったですが、雁木はいきなり攻められて潰されることが少なくなったように思います。

あとは相手が対策を持っておらず、自分のペースで戦えたのも大きいです。

(今後も続くかはわかりません。プロでは雁木は対策ができつつあるようですし)

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将棋倶楽部24で三段に到達しました(昇段体験記第一回)

ついにこの日がやってきました。
2013年6月8日に24で二段に昇段して以来、5年5ヶ月の月日を経て遂に三段になることができました。
これから何回かに分けて昇段体験記を書いていきたいと思います。
第一回 挑戦して失敗した日々(〜2017年7月まで)
第二回 雁木戦法への転向
第三回 受け将棋の覚悟(森内将棋への傾倒)
第四回 技術面の進歩(寄せ・中盤・駒の運用)
第五回 上達の習慣(ノート・勉強メニューのポイント制)

■第一回 挑戦して失敗した日々(2017/7まで)
グラフが示すようにこれまで何度もあと一勝まで漕ぎつけて跳ね返されてきました。

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<一度目の挑戦2014年>
最初のチャンスは2014年の2月でした。当時は矢倉46銀37桂戦法を主力にR1895まで行ったのですが、詰将棋をおろそかにして棋譜並べ(音声棋譜並べを開発した)に走ったのがよくなかったのか、そこから悪夢の10連敗で一気に脱落してしまいました。

矢倉相振感想戦ブログ(将棋24) |音声棋譜並べのすすめ

矢倉相振感想戦ブログ(将棋24) |4月の成績
ここでの経験から連敗中は練習対局でスランプを脱することを学びました。


<二度目の挑戦2016年>
2度目のチャンスは2016年6月でした。矢倉46銀37桂戦法が使えなくなり、矢倉脇システム、加藤流を主戦法にしてR1888まで行きました。
しかしこのチャンスもものにできず、このあと矢倉雀刺しに手をだしたのと、矢倉名局集の棋譜並べにはまり、またもRを少し落としてしまいました。
その後しばらくR1800台をキープして2016年11月に再度R1888まで到達。しかしここでも結果を出せませんでした。


<迷走の2017年上期>
このあとまたも棋譜並べ(iPadとPDFでパラパラ棋譜並べ)にはまり2017年はレートが急降下。勝てないので戦法を横歩取りや角換わりに変えてさらに勝てないという迷走の時期に入ってしまいました。

高速棋譜並べを快適にするための環境 - 将棋24雁木・相振上達日記

また一から出直し - 将棋24雁木・相振上達日記

こうして振り返ってみると、どうやら私は棋譜並べにはまるとレートが下がる傾向にあるようです。
棋譜並べを早くやることで、考えるよりも手が先に動いてしまい、読みが浅くなってしまう弊害があるようです。強くなろうと思って棋譜並べをがんばっていたのに努力の仕方が間違っていたのでしょうか?

 

 

7,8月の対局・トレーニング振り返り

2018年の成績
1月 5勝7敗 R1635→1614
2月 5勝3敗 R1614→1647
3月 4勝2敗 R1647→1682 
4月 6勝1敗 R1682→1764
5月 1勝3敗 R1764→1732
6月 4勝2敗 R1732→1766
7月 5勝2敗 R1766→1817
8月 5勝4敗 R1817→1843
2018年成績 59戦 35勝 24敗 0.59
2018年シーズンベスト R1843 8/26

7,8月は共に勝ち越しで終えることができました。
シーズンベストのレートも更新して三段R1900が視野に入ってきました。
2017/1ぶりのR1800復帰でしたが、これまでは互角以上に戦えていて手応えを感じています。

■反省
・駒を渡すことを怖れすぎている。小さい駒(香)は渡してOK。相手の金銀をはがすほうが大きい 8/12
・×83金 働いてない大駒を取りに行って負けた。働きのない駒は放っておく。将棋は飛車を取るゲームではない 8/14
・自分の将棋は自分から手を作っていくのは苦手であると気づいた。相手に攻めてもらって反撃をするほうが勝率が高い。そのためには小さい駒で攻める、手渡しを怖れない。
・駒当たりを怖れている。自玉が薄い時に駒を渡すことを怖れて踏み込めなかった。渡していい駒は何かを正確に把握する 7/3
・攻め駒を捌くことを意識できている。持ち駒を使って両取りをかけるよりも、遊んでいる大駒を交換していくほうが価値が高い。 7/4 7/29
・全軍躍動を意識して自軍の駒を運用する。

■7,8月のトレーニング
7月 詰将棋 540問 必至80問 棋譜並べ41局 反省15局 付録19問 合計 1119ポイント
8月 詰将棋 648問 必至 42問 棋譜並べ 32局 観戦 4局 反省 13局 合計 1104ポイント

7月から森内先生の順位戦棋譜をフラ盤で並べています。受けから反撃に転じるタイミングを課題に置いて勉強しています。
森内先生の棋風が自分に合っているのかなと思い継続します

■9,10月の課題とトレーニング
課題1 終盤で多くの手を早く読む力をつける
メニュー 3手詰タイムアタック 50問を20ポイントに設定

課題2 大駒を切って踏み込み、必至をかけて勝てるようにする
メニュー ひと目の必至 休日10問 2ヶ月で160問 

課題3 受けから反撃に転じるタイミングを身につける
メニュー 森内棋譜並べ 

ラグビーエディー・ジョーンズさんの本を読んだのですが、2ヶ月に1度反省をして計画を修正することと、トレーニングは目的意識を持って実戦のように取り組まないと効果がないと書いてありました。早速参考にしてみました。

5,6月の対戦結果と勉強結果

2018年の成績
1月 5勝7敗 R1635→1614
2月 5勝3敗 R1614→1647
3月 4勝2敗 R1647→1682 
4月 6勝1敗 R1682→1764
5月 1勝3敗 R1764→1732
6月 4勝2敗 R1732→1766
2018年成績 43戦 25勝 18敗 0.58

5,6月は5分の成績となりました。
雁木 2-4 相振 1-1 他 1-0 時間切れ 1-0
5,6月は雁木で負け越してしまいました。
負けた将棋は自分から動いて失敗した将棋が多かったです。
序盤は積極的に動かず、自分の戦い方に徹したほうがよさそうです。

2018年度上期は25勝することができました。
これまで年間100局対局をすることと、勝率5.5割を目標としていましたが、最近目標を変更して年間50勝することを
目標に変更しました。
勝率を意識してしまうと対局するのが怖くなってしまい、対局をネガティブに捉えてしまう時がありました。
積み上げ式の目標(イチローの年間200安打など)にすることで、対局を前向きに捉えて勝利をつみ上げようと考えられるようになりました。
些細なことですが意識に変化をもたらせています。

5月の勉強結果
詰将棋(1P/問) 計画 600問 実績 648問 648P
必死問題(2P/問) 計画 48問 実績 61問 122P
棋譜並べ(6P/局) 計画 8局 実績 40局 240P
24観戦or反省の記事を書く(10P/記事) 計画 10記事 実績 0記事 0P
対局の反省(10P/問) 計画 15局 実績6局 60P
その他 長い詰将棋将棋世界付録など 計画100P 実績24P
合計 1118P

6月の勉強結果
詰将棋(1P/問) 計画 600問 実績 504問 504P
必死問題(2P/問) 計画 48問 実績 19問 38P
棋譜並べ(6P/局) 計画 8局 実績 24局 144P
24観戦or反省の記事を書く(10P/記事) 計画 10記事 実績 0記事 0P
対局の反省(10P/問) 計画 15局 実績 10局 100P
その他 長い詰将棋将棋世界付録など 計画100P 実績50P
合計 838P

5月はGWの休みがあったこともあり、目標達成できました。
しかし、6月は仕事が忙しかったことや、土日に予定が立て込んだこともあり目標未達となってしまいました。
ポイント制の勉強法にしてから半年経ちました。目標達成できない月もありましたが、地道な詰将棋をこれまでよりも前向きに目的意識を持って取り組めているのが上期の良い成績につながっていると思います。
引き続き勉強を記録する取り組みを続けていきたいと思います。

大駒の効きを止める犠打

24高段者の対局から。図は後手が桂頭を攻めようとしている局面です。ゆっくりしていると桂馬を取られているので先手は急ぐ必要があります。

<図からの指し手>
▲5七歩 △4七銀右成
▲同金 △同銀
▲6五桂 △同歩
▲4七銀 △6六歩
▲5三銀 △6三王
▲5六銀 △6四桂


先手は後手の攻めを引っ張り込んで反撃する順を選びました。
▲65桂の捨て駒がうまい手で、このタイミングで桂馬を捨てて銀を取り返せるのですね。見えませんでした。後手も玉頭を守りながら攻防の桂を打ちましたがここからうまく決めました。

<図からの指し手>
▲同銀成 △同王
▲6五歩 △6三王
▲6四銀 △5二王
▲5三銀成 △4一王
▲3五桂


上から抑えこんで最後に▲35桂で寄り形になりました。▲53銀成の局面ではつい▲53角成いきたくなりましたが、大駒より小ゴマを使えですね。
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勉強になった点

・取られそうな駒を犠打に使う
 桂馬を角の効きに捨てて銀を取る。うまいタイミングで捨てている
・玉は下段に落とせ
 ▲64銀成から下段に落とす攻め。最後の▲35桂で寄せができた
・玉のあたりを避ける駒のとり方▲47金
 ▲47銀だと△58銀成が王手になるので金から取って王手にならないようにする

先手を取って受ける

24高段者の対局から。図は対抗型の終盤戦です。
後手が手番を握って攻め込んでいますが、先手はどう対処するか。駒割は先手の桂香得です。

<図からの指し手>
▲7八角 △6七銀
▲同角 △同角成
▲7八銀 △同馬
▲同金 △5九飛


先手は角を合わせて先手を取って受けました。
△67銀にも銀角交換になるも再度78銀と受けて馬をはじきます。
後手も馬を引いては寄せが遠ざかるので馬を切って飛車をおろしました。

<図からの指し手>
▲7九飛 △同飛成
▲同金 △3九飛
▲5六角 △6五歩
▲5一飛 △6一銀打
▲8九金打 △6二銀
▲9一飛成 △同王
▲9三金


ここで今度は飛車に飛車を合わせる▲79飛でした。
単に受ける手はダメなんですね。△56飛成とかされたらどうするのかなと思ってしまい自分は指せなそうです。
そしてとどめの▲89金打ち。穴熊で金が2枚あったら自陣に打てと先崎さんの自戦記に書いてあったのを思い出しました。攻めが切れない限りはこうやって自玉を鉄壁にするのが大事なんですね。最後は隅に玉を落として決まりました。
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ポイント

・後手を引く受けはダメ。角には角、飛車には飛車をぶつけて先手を取る
・金を自陣に打つ手に悪手なし。攻めが切れない限りは好手